キルギス周遊(4)~ 多民族都市オシュ

 オシュはキルギスではビシュケクに次ぐ第二の都市で,キルギス南部では最大の街だ。もっともビシュケクとオシュの間は車で12時間ほど(冬場は更に時間がかかる)と距離的に離れているばかりではなく,間に山地があるために地理的・文化的にも距離がある。
 オシュに着いてまず驚いたのが,人の顔の多様さだった。キルギス系,ロシア系の人達はもちろんいるけれど,フェルガナ盆地に近いここではイラン的な顔立ちのウズベク系の人達も多い。僕はタジキスタンに行っていないのでよくわからないけれど,南からはタジク系の人達も入ってきているのではないだろうか。オシュはまさに中央アジア的な,諸民族の入り混じった多彩で複雑な表情を持っていた。

 ビシュケクからここまでは日本人旅行者のユリさんと一緒に移動してきたけれど,彼女ともここオシュでお別れ。オシュに着いた翌朝早く,彼女は隣国ウズベキスタンへ移動していった。これまでに訪問した国の数が120に達するという彼女からは,並の旅行者とは次元の異なる視点の話を聞かせてもらえて楽しかった。旅をしていると本当に色々な人に出会うものだ。旅の出会いは一期一会。でもそういう出会いの一つひとつが,旅をどんどん豊かにしてくれる。


 オシュは南北に長く,東西には細い街だ。この街の中心付近に,スレイマン山という山がある。
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 ここは歴史的に地元の信仰の対象として崇められてきたという。街なかからも行きやすいので,ある朝ここに登ってみた。高さは250メートルほどらしく,頂上まで何百段かの階段を登る。朝の爽やかな空気の中ではこれも心地よい運動だった。
 さすがに頂上に着くころには少し汗をかいたけれど,そこからの眺めはなかなかのものだった。特に南のタジキスタンの方角には,オシュの街並の遥か向こうに“世界の屋根”パミール高原の山々が連なっているのが見えた。
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 更にスレイマン山頂を越えて進むと,何やら奇抜なデザインの博物館が見えてきた。
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 朝早かったせいか,残念ながら僕が行ったときには閉まっていたけれど。



 オシュの街には非常に規模の大きなバザールがある。とにかく広い。売られているものは食料品から衣類,雑貨など,それこそ生活必需品全般に渡る。一応,野菜なら野菜,衣類なら衣類と,同じ種類の商品を売る店が同じ場所に固まってはいるけれど,果物屋の隣に突然一軒だけ雑貨屋があったりもして,そういう部分的な無秩序さがバザールの生活感を更に一層豊かなものにしている。
 ビシュケクのバザールではそこに並ぶ肉の塊や野菜の豊富さを楽しんでいたけれど,僕はここではむしろ,集まってくる人々の多彩さに興味を持った。ビシュケクと同じ国にある街とは思えないほど,人々の顔立ちが違っていた。
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 違うのは顔だけではなく,人々の服装も違う。女性は色鮮やかな衣服を身に纏い,頭をスカーフで覆っていることが多い。男性も,キルギス北部でよく見たカルパック帽ではなく,小さくて丸いイスラム帽をかぶっている人の姿が急に増えた。


 バザールの向かいに小さな公園がある。ここにも様々な顔の人達がいて,それぞれにゆっくりと時間を楽しんでいた。
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 このオシュの街に来て,急に僕は自分が小さな場所に閉じこもっていたのではないかと思い始めた。せっかく中央アジアに来ているのに,もっと多彩な世界があるのを見逃しているんじゃないだろうか。初めの計画ではキルギスをじっくりと長く見て,最後にちょっとだけウズベキスタンを見て終わろうと思っていた。でも,次第にウズベキスタンに早く行きたいという気持ちが強くなってきた。
 ウズベキスタンに行くにはビシュケクでのビザ申請が必要で,その申請には時間が掛かる。キルギスの他の場所もちゃんと見て,その上で早めにウズベキスタンに移動するにはどうしたらいいか。時間を有効に使わなければ。

 カレンダーを見ながら色々考えて,ここで一度ビシュケクに戻ることに決めた。
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by Asirope2 | 2007-08-05 18:13 | キルギス
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