西域の玄関口 ~ 西安(3)

 西安の市内にある清真大寺というところに行ってみた。清真寺というのは中国語でモスクのことだ。ここ西安は西域への玄関口であり,ということは西域からの文化が流入してくる場所でもあるのだ。
 この清真大寺が非常に面白かった。

 観光客向けの土産物屋が並ぶ細い路地を抜けると,清真大寺のあまり目立たない入り口があった。ここに入って戸惑った。本当にこれがモスクなのかという感じだった。イスラム帽をかぶった人達がいなければ,仏教寺院といわれても納得してしまいそうな場所だった。
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 ただ,よく見ていくと随所にアラビア文字の装飾がある。コーランの一節だろうと思うけれど,こういうのがあるのはやはりモスクだ。礼拝堂の柱には華麗な装飾文字が彫られていた。
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 このモスクは僕には非常に興味深い場所だった。西から伝わってきたイスラム教が中国で受容される。異なる二つの文化が混ざり合って独特の風景を作り上げているのだ。イスラム教がこの地に伝わってから長い時間が経っている。伝統的な中国建築にアラビア文字,イスラム帽にイスラム服を身に着けた信者たち。一見異質とも思える諸要素が,落ち着いた調和を見せて静謐な空気を生み出していた。
 このモスクはまさに異文化の接点としての西安を象徴するような場所だった。

 僕が行ったときはちょうど礼拝の始まる時間だったようで,信者たちが三々五々あつまってくるところだった。みな礼拝堂の中に入り,それぞれに熱心な祈りを捧げていた。他にも多くの観光客はいたけれど,お祈りの邪魔をすると悪いような気がして,僕はその場を立ち去った。
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 清真大寺の外にはイスラム食堂などが並ぶ一画がある。ここでは羊肉や牛肉を串焼きにして売っていたり,中央アジア式の丸いパンがあったりと,西からの文化の影響が色濃く漂っている。香港から始まって中国の平原部をひたすら北上し,それから西へ来てやっと西安にたどり着いた僕には,この光景は強烈に異国の香りを放って見えた。

 僕は今まさに西域の入り口に立っているのだ。突然そんな思いがこみ上げてきた。いよいよ陸のシルクロードの出発点まで来たのだ。
 西へ進もう!
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by Asirope2 | 2007-06-16 18:28 | 中国
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