中国上陸!

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 ああ,無事に着いた。張家界の街中でとある安宿にたどり着き,そこの部屋に落ち着いたとき,まずそう思った。もっとも香港からの道中がそんなに大変だったわけではない。それどころか,むしろ極めて順調だった。だから,「無事に着いた」とホッとしたのも,中国という国に対して抱いていた不安が杞憂に終わって安心した,という感覚だった。

 香港から中国の広州まではバスを利用した。途中で国境を越える国際バスだったけど,中国側の入国審査は他の国と特に変わらず,すんなりと入国。中国側で新しいバスに乗り換えて広州へ向かった。香港中国旅行社というところのバスを利用したけど,国境でのバスの乗り継ぎ案内なども丁寧で戸惑うことは何もなかった。

 広州に着いてみると,ここはもう大都会というしかないような巨大都市だった。驚くほど大きな高層ビルが林立し,完全な近代都市。都会の苦手な僕はちょっと圧迫感を感じながら鉄道駅へと向かった。もともと広州に滞在するつもりはなかったので,同じ日に広州から張家界へ向かう夜行列車の切符を香港で手配していた。実際に街を見てその判断は正しかったと思った。この大きな街では,安宿を探して歩き回るだけでも大変だろう。

 中国の鉄道駅では,乗車前に列車ごとに指定された待合室に入って出発を待つ,という仕組みになっている。待合室といっても一本の列車に乗る客すべてが集まるわけだから,混雑していて騒々しい。それでも重いバックパックを下ろせるのでありがたかった。
 列車を待つ間に待合室の売店をのぞいてみた。さすがに中国,たくさんの食べ物が並んでいる。僕は夕食用にカップラーメンとバナナを買っておいた。

 列車に乗るとエアコンが入っていて快適だった。目的地の張家界までは15時間。中国では30時間,40時間といったものすごい長距離移動でも座席車で移動する人たちがいるけれど,さすがにそんなことをする根性は僕にはなく,今回は寝台車の切符を買っていた。自分のベッドを見つけて荷物を網棚に乗せてしまえば,あとは張家界に着くのを待つ以外にすることはない。
 この時点で,僕は中国の旅がおそらくインドのそれより楽であろうと見当をつけていた。言葉はまったく通じないけれど,人々が作り出す空気はインドに比べてよほど穏やかで,秩序を持ったものだったからだ。

 列車が動き出してしばらくすると,車内販売のお弁当を持った係員がやってきた。カップラーメンを買っていたので少し迷ったけれど,白ご飯の誘惑に負けてその場で購入。茹でたキャベツの上に豚肉と獅子唐辛子の炒め物が乗ったおかずに白ご飯。なかなかおいしくて満足した。カップラーメンは結局翌朝の朝食となったけど,バナナの方は甘みが強くて十分おいしく,夕食後にあっという間に食べてしまった。

 列車は快調に走り続け,翌朝10時頃に張家界の駅に到着。ここからが今回の行程の一番の難関。駅は市内から結構離れていて,市バスに乗らないといけない。ところが僕の持っているガイドブックには肝心の市街地図が載っておらず,どこで降りればいいのやらさっぱり分からない。
 ただし当の本人は至ってお気楽で,まあ何とかなるだろうと思っていた。初めての場所を訪れるときの感覚が戻ってきた。市内というからには繁華街で降りれば間違いないだろうし,そこが繁華街なら,たとえ市内でなくてもバスなりタクシーなりをつかまえるのは簡単だろう。いずれにしても,悩んでもどうしようもないし,いざとなったらお金と時間をかければ解決できるのだ。しかも幸いにしてまだ午前中だ(これが夜遅いと,多少事情が違ってくる)。

 バスに乗るとき,車掌のおばさんに行き先を確認するため,メモ帳に「市内」と書いて見せていた。このおばさんが親切な人で,市内に入るとわざわざ「どこへ行くの?」と聞きに来てくれた。とりあえずバスターミナルの近くなら安宿も多いだろうと思い,中国語の会話集を出してバスターミナルに行きたいと伝えた。するとおばさんは,じゃあここで降りて歩いてちょっと戻ってね,と教えてくれた。もう市内に着いていたのかと思いながらバスを降りる。
 いよいよ張家界の街に着いた。とは言っても背中には重いバックパックを担いでいる。はやく宿を見つけてシャワーを浴びたい。とりあえず賑やかそうな方向に歩き始めた。

 中国の宿事情は貧乏旅行をやっている人間には多少厄介なもので,安い宿は公式には外国人が泊まれないことになっている場所が多い。そうは言っても実際には泊まれてしまうケースがほとんどと聞いていたけれど,初めて中国で宿探しをする僕にとっては気の重い話だった。
 途中,何軒か高そうな宿の前を通り過ぎる。もしどこもダメだったらここに戻ってくればいいかと思いながら歩いていると,ナントカ招待所(日本にはない漢字で読めない)というところを発見。ダメもとで入ってみた。

 宿のフロントでは,双方まったく言葉が通じない中,それでも何とか一泊40元(600円)で泊めてもらえるらしいことがわかった。部屋は結構広くてきれいだった。エアコンはなかったけれど,香港ほど暑くないので苦にならない。無事ここにチェックインして,ホッと肩の荷を降ろしたのだった。

 張家界の近くには,武陵源という世界遺産地域がある。ここを訪れるのが,張家界へ来た目的だ。
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by Asirope2 | 2007-05-28 22:40 | 中国
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